第4回:「成果に近づいているか」リモート環境における戦略遂行・タスク管理
~テレワーク時代のBtoB営業組織のあり方(全5回シリーズ)~

新型コロナの影響を受け、BtoBの営業も大きく変わろうとしています。

そこでパーソルラーニングではシリーズテーマ「テレワーク時代のBtoB営業組織のあり方」として全5回のコラムをお届けいたします。

第4回は、「成果に近づいているか」リモート環境における戦略遂行・タスク管理について考えていきます。

目次

テレワーク化によって発生するBtoB営業の〝新たなる課題〟

新型コロナの影響以前からあった、「テレワークの要請」に対して全く応えられなかった企業の要因の一つに、「離れている社員の仕事の進捗(全体成果への貢献)をどう管理するのか」というミドルマネジャーや経営トップの不安があったと思います。

〝営業〟の世界では〝結果〟こそ数値で管理できますが、プロセスに関しては前述(第3回)のように、必ずしもうまくマネジメントできていませんし、今期の数字だけでなく、将来への種まきも含めリモートでマネジメントしていかなければなりません。そこではトップだけでなくミドルも含めた、バランスの良い戦略の構想力、成果へのつながり(トレーサビリティー)、意味ある進捗(KPI)マネジメントが必要になります。

 

数年前、オフィスのフリーアドレス化(座る席が自由)が登場したころ、「部下がどこにいるかわからないのでマネジメントできない」というお客様が多く、閉口した覚えがあります。席が自由になっただけでマネジメントできないのですから、テレワークになった今、さぞ困惑しているであろうことは想像に難くありません。

こうした状況の原因としては、訪問件数や提案件数など、会社から与えられているKPIが「自分のものになっていない」ことや、日々発生する不安を「おい、あの案件どうなってる?」と都度確認することによって安心している「場当たり的」マネジメントが考えられます。

 

バランスの良い戦略とは

訪問件数一つをとっても、その目的は「明日への種まき」から「キーパーソンとの関係構築」「商談クロージング」と多様で、どういった目的の訪問をどれくらいやるのか、それらはどのようなストーリー性をもってつながっていくのかを考えなければなりません。

ただ、一言で「バランスの良い戦略の構想力」といっても、そのような訓練をしてきていないミドルマネジャーにとっては、ハードルが高いことでしょう。そこで、十数年前に非常に流行し、今なお戦略フレームワークのスタンダードとなっているBSC(バランスド・スコア・カード)の考え方を活用して、部門戦略を簡易に立案・展開する方法を解説いたします。混迷を深める今こそ再注目されるべき内容だと考えます。

 

成果へのつながり(トレーサビリティー)を担保する上で重要なことは、目標とKPIの因果関係が論理的であることです。

BSCで言うと【図1参照】、最終的な「財務的視点」で、売上・利益といった最終成果を上げるために、「顧客の視点」で〝どのような価値をお客様に提供し、どのような評価をいただくのか〟を想定します。

 

そして、その評価をいただくために「業務プロセスの視点」で〝何をするのか〟、それらを実行するために「学習と成長の視点」で、どのような〝実行力〟を獲得するのかを考えます。この一連の目標の〝縦の連鎖〟を「戦略群」と呼び、そのストーリーが論理的で、さらに納得性もあればトレーサビリティーは上がっていきます。

 

 

BtoBsales04-図1.png

 

 

このBSCの考え方を営業戦略にあてはめる場合、主に次の3つのゾーンに区分けすることが効果的です。

【図2】の左からBゾーン(攻める)戦略群、Aゾーン(守る)戦略群、Cゾーン(効率化する)戦略群となります。

それぞれのゾーンは、商談と顧客の種類によって層別されるものです【図3-1、図3-2参照】。

 

BtoBsales04-図2.png

 

BtoBsales04-図3-1&2.png

 

【図2】の「全体(部門)戦略・個別施策展開(実行計画書)」のサンプルを公開しております。
資料ダウンロードフォームよりお申込み願います。

 

3つのゾーン、Bゾーン(攻める)戦略群、Aゾーン(守る)戦略群、Cゾーン(効率化する)戦略群について順に説明します。

 

Bゾーン(攻める)戦略群

・「新市場・新商品拡販」

・「重点攻略顧客の売上拡大」【図3-1参照】

  ※顧客の購買力が大きいのに、その中での自社のシェアが低い〝まだまだ伸びしろがある〟顧客、

・「仕掛商談の創出」

  ※目標と見込み予測とのギャップにより、新たに仕掛け、創出しなければいけない商談【図3-2】、

その他「将来への投資」なども含む、〝新しく〟〝攻める〟ものを配置します。

 

Aゾーン(守る)戦略群

・「既存主力商品の維持・拡販」

・「最重要顧客での売上維持・拡大」【図3-1参照】

  ※購買力があり、自社のシェアも高い〝守る〟顧客、

・「顕在商談の着実な刈取」【図3-2参照】

など、〝今の数字(売上)〟を守るためのものを配置します。

 

Cゾーン(効率化する)戦略群

・低ボリューム・低収益商品の効率化

・「効率化顧客の効率的売上維持」【図3-1参照】

  ※シェアは高いが購買力がなく、これ以上の取引拡大が見込めない顧客、

・「継続・受注残の効率的維持」【図3-2参照】や「過去の遺物の整理」

など、Aゾーン戦略群に投入するためのリソースを確保するためのものを配置します。

 

意味ある進捗(KPI)マネジメントを実践するために

そして、各視点の戦略群のテーマ【図2】に対して、更に具体的な目標(KPI)を設定していきます。この段階でもまだ部門として追っていく「目標」になりますので、この後、更に具体的な「施策」として「実行計画書」【図2】を作成し、各営業担当者に割り振っていきます。

これは業務プロセスの視点のBゾーン戦略群における「戦略目標」を施策展開した際の「実行計画書」ですが、顧客の活動比率を既定したり、その活動を成果につなげるために「施策」と時期的な「展開ストーリー」を考えます。

更に、メンバーへの展開についても「一律」「均等割り」ではなく、各担当者の経験や能力、受け持っている市場特性に応じて割り振っていきます。

 

このように戦略の全対象をバランスよく配置し、因果関係を明確にした目標を設置し、施策を展開して、KPIを個人別に割り当てる、といった作業を〝自ら考え〟またはメンバーを巻き込みながらも〝主体的〟に進めることができれば、〝自分のもの〟になります。

あとはKPIの進捗と見直しを行っていくだけでリモート環境における戦略遂行・タスク管理ができ「誰が何をやっているかわからない」「成果につながっているか不安」といった悩みの軽減につながるのではないでしょうか。

 

こういったマネジメントは決して特別なことではなく、本来的に必要なことだと思います。現在のような環境は〝本物の戦略遂行マネジメント力〟をつける好機といえるでしょう。

 

パーソルラーニングではオンライン営業におけるマネジメント課題の解決策をご提示します

なお、本内容において提起した課題に対する具体的解決策の一例として、別途弊社から「オンライン営業マネジメントガイド」を配信しています。そちらも、あわせてご活用ください。

 

次回は、第5回オンライン環境での営業プロセスの可視化、支援業務の在り方を掲載いたします

全5回コラム一覧

著者プロフィール

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パーソルラーニング株式会社
シニアコンサルタント 河村 亨

1990年、機械商社を経て富士ゼロックス総合教育研究所(現パーソルラーニング)に入社。営業力強化を中心とした教育の企画提案・営業マネジメントに携わり、2004年よりシステムを活用し、教育の成果を創出するためのSFA現場定着コンサルティングに従事。
2010年より、特に「ソリューション営業」や「アカウント営業」の領域を中心に、営業戦略の立案/展開⇒実行/定着をトータルで支援する「営業革新コンサルティング」を展開、現在に至る。
著書に「自ら考え戦略的に動く営業集団をつくる 3つのフレームワーク」「Sales Enablement アカウント型BtoB営業における営業力強化」など

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