若手育成や後輩指導に役立つSL理論とは?

若手育成や後輩指導に役立つSL理論とは?

マネジャーを始めとする多くのビジネスパーソンが、若手の育成や後輩の指導に課題や悩みを感じているのではないでしょうか。年齢や価値観の異なる人材を育成するのは簡単なことではありません。また、部下の能力や成熟度、意欲も千差万別です。多様な人材に対する育成・指導方法は、相手の能力や状況などに応じて使い分ける必要があります。今回は若手や後輩を指導するビジネスパーソンが置かれている立場やその背景、具体的な悩みを取り上げるとともに、効果的な指導方法としてのシチュエーショナルリーダーシップ理論(SL理論)をご紹介します。


なぜ若手育成・後輩指導は難しいのか?

企業が持続的な成長を遂げるためには、人材育成や能力開発は必須です。若手社員や後輩社員のスキルを向上させて、生産性や効率性を上げることでチームや組織の成果に還元させることが必須となります。しかし、企業を取り巻く諸要因によって、多くの職場では若手や後輩の育成・指導がうまく機能していません。

育成や指導において、多くの企業が抱えている問題や課題とはどのようなものでしょうか。また組織が若手の育成や能力開発をおざなりにしたままにするとどのような悪影響が生じるのでしょうか。

多くの職場が抱えている課題とは

若手や後輩への育成や指導において、多くの企業が直面している課題として、次の3点があげられます。

  1. 短期的な成果志向の強化
    近年、欧米だけでなく国内企業においても成果主義や実力主義をもとにした評価制度が一般的になりつつあります。短期的な成果を重視するあまり、業務の個業化が進み、周囲への気遣いや教育・支援が難しくなっている現実があります。また、めまぐるしく変化する市場環境に対応するための事業拡大に、必要な人材の育成が追い付かないという問題もあります。
  2. 社員の高齢化や年齢構成の偏り
    不景気による採用抑制が長く続いた企業にでは、若手や新入社員が自チームに配属されなかったためにいつまでも初歩的な仕事ばかりやらされている中堅社員も多くいます。そうした中堅社員にとっては、年の離れた若手や後輩に業務を教える能力や経験が足りないケースがあります。また、若年世代とベテラン世代による価値観のギャップも、教育や指導を行うにあたって障害となりえます。
  3. マネジメントの複雑化・高度化
    多様性の高いメンバーや複雑化する業務、さらにはスピーディな意思決定を求められる現在のビジネスシーンにおいては、他者に対して的確な指導や教育を行うことがより難しくなっています。また、仕事の進め方や方法も昔とは変わってきているため、どのような指導が適切なのか、ベテラン社員やマネジャー自身が理解しきれていない現状があります。

育成や指導が機能していないと組織力が下がる

上記の3つの課題を解決せずに、育成や指導が機能しないまま組織を運営すると組織力の低下を招きます。新人、若手、中堅層にとっては、チームや組織に所属していてもスキルアップや成長が期待できないため、自信やモチベーションが下がります。それによって生産性も著しく下がり、組織力低下にもつながります。
またチームへの貢献意義が見いだせないと、エンゲージメントが下がり、企業やチームへの愛着も薄れてしまいます。中堅以下の社員をコントロールできずに、組織力が減退することはマネジャーの管理責任にもつながります。メンバーの生産性やエンゲージメントはチームや組織全体の業績にも直結するので、マネジャーとしての自信喪失を招くことになります。

マネジメントの役割が変わってきている

短期的な成果志向、社員の高齢化、マネジメントの複雑化などが原因で、人材の育成や指導が機能不全に陥っているチームは、一人ひとりが自分のことで手一杯になりがちです。当然、チームとしての成長は望めないでしょう。マネジャーは、年齢や立場にかかわらずお互いの成長を支援しあう「場」を作るために努力しなければなりません。マネジメントの役割は各人の強みを発揮させて、メンバーを成長させることです。ただ指導するのではなく、部下の性格や強み、経験などを考慮して、的確なコミュニケーションを図り支援することが重要なのです。

育成や指導に効果を発揮する具体策とは?

職場環境の多様化や複雑化が進むなか、マネジャーはメンバー同士がお互いに助け合って成長を実現できるような環境を構築しなくてはなりません。そのためには、新人、若手、中堅社員に対して各人に合った育成・指導方法を選択し、適切に対応しなくてはなりません。

そのための解決策として、「シチュエーショナルリーダーシップ理論(SL理論)」という考え方があります。

シチュエーショナルリーダーシップ理論とは?

シチュエーショナルリーダーシップ理論(SL理論)とは、1977年にケン・ブランチャード氏らが提唱したリーダーシップ論です。チーム内の多様な人材(部下)に対して、一律に指導するのではなく、部下の成熟度や状況に合わせてリーダーがとるべき行動を示す理論です。
以下で見るように、部下の成熟度を4つのレベルに分類し、それぞれの状況でマネジャーやリーダーがとるべき行動を使い分けます。

部下にみられる4つの状況

部下の状況とは、部下の能力や意欲による成熟度を表します。

  • 成熟度1:成熟度が低い(新人や未経験で細かい指示が必要)
  • 成熟度2:成熟度が少し高くなっている(ある程度一人で業務ができるようになってきている)
  • 成熟度3:成熟度がさらに高くなっている(能力が高くなってきており、最小限の指示のみで業務ができる)
  • 成熟度4:熟練されている(高い成果を期待でき、専門家として責任を負える)

リーダーがとるべき4つの行動

部下の状況に合わせて、リーダーがとるべき行動は以下の4つとなります。

  • 指示型:成熟度1に対して、具体的に指示と確認を細かく行う
  • コーチ型:成熟度2に対して、指示や指令を与えて、部下の質疑に答えながら提案を出させて業務を進めていく
  • 援助型:成熟度3に対して、達成に向かって部下の努力を促しつつ意思決定の場に参加させて責任を分かち合う
  • 委任型:成熟度4に対して、権限を委譲し、意思決定や責任を部下に任せる

部下の成熟度が高まるほど、リーダーから部下への援助的な行動が少なくなり、反対に部下自身の責任が増えていきます。成熟度に応じた指導が、個人の成長を促すことになります。

SL理論実践による効果

部下の成熟度は一人ひとり異なります。それぞれに得手不得手があり、習得しているスキルや経験値もまばらです。目標を達成して進化を続けるためには、成熟度に合わせて指示や行動を変えて、部下の成長をサポートします。それは、組織全体の成長や成果にもつながることにもなるのです。

適切な育成や指導によって実現する理想のチーム像

現代において求められる理想のチーム像というのは、年齢や立場に関わらず、お互いに意見やアイデアを出し合い、共に成長を支援しながら進化し続けるチームです。「部下だから」「上司だから」というのではなく、一個人としてお互いの意見や意思を尊重しあえる組織を目指していくことが大切です。

育成や指導が機能してない環境では、短期的な成果を追い求めすぎて、自分の業務だけに固執してしまいがちです。相互理解や相互援助の精神が希薄になります。新人、若手、シニアなど世代を超えたコミュニケーションを促進させるという意味でもマネジャーの果たす役割は大きいと言えます。

進化を続ける組織は、自分のキャリアの方向性を見出しやすく、やりがいやエンゲージメントの向上も図れるでしょう。各個人が成長を実感できれば、モチベーションが上がり、生産性や作業効率のアップも期待できます。まさに理想的なチームと言えるでしょう。

まとめ

若手育成・後輩指導においては、個々の育った環境や価値観、性格はもとより、能力や意欲などさまざまに状況が異なる人たちを指導していくため、困難を伴います。さらに成果主義の導入や、年齢構成の隔たりなど激しく変化する環境にあって、マネジャーがチームメンバーを育成・指導することがますます困難になってきています。こうした複雑化する状況で、適切に育成・指導するためには、各人にあった指導方法を柔軟に使い分けることが重要になります。そのための一つの手法としてシチュエーショナルリーダーシップ理論の活用は効果的です。

相互に信頼し合い、支援し合いながら成長を続けるのが理想的なチームです。マネジャーやリーダーは、適切な指導・育成方法を実践しながら、若手からシニアまで多様な人材を生かすべきです。それによって、チーム力の強化が実現できるでしょう。

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