シニア層の『キャリア』を考える

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西川 敏彦

トレーニングパフォーマンスコンサルタント

大学卒業後、富士ゼロックス総合教育研究所(現 パーソルラーニング)へ入社し、営業活動を行う。その後、西日本支社へ異動し、営業マネジャーに就任。 同社ビジネスパートナーとして独立し、人材育成に関するコンサルタント業務に従事。 トレーナー業に専念するため、富士ゼロックス総合教育研究所(現 パーソルラーニング)に復職し、トレーニングパフォーマンスコンサルタントとして現在に至る。

■神戸大学大学院経営学研究科(MBA)修了

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これまで、人と組織の学習に関わる仕事に20数年間携わってきましたが、自分自身が50歳の節目を迎え、ふと今後のキャリアってどのように考えれば良いのだろう、という思いが頭に浮かびました。私と近い年齢層の方も、ご自身のキャリアについて不安や可能性が入り混じった複雑な思いをお持ちなのではないでしょうか?

そこで、キャリアそのものについてきちんと学習してみようと思い、キャリアコンサルタントの資格取得のために3ヶ月ほどの学習プログラムに参加しました。結論から申しますと、一緒に学んだ仲間にも恵まれ本当に有意義な時間であり、改めて“学ぶことは楽しいものだ”ということを思い出しました。

本稿ではそこでの気づきを踏まえ、シニア層のキャリアについて考えてみたいと思います。

1. キャリアコンサルティングとは?

少し堅い話になりますが、厚生労働省では「キャリアコンサルティング」を次のように定義づけています。

「キャリアコンサルティングとは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます」

そう、キャリアコンサルティングは、職業のマッチングだけでなく“職業生活設計”の助言及び指導も含まれるということです。“生活(ライフ)”という言葉が入ると、サポートする領域の広さ・深さが大きく変わってきます。

今、目の前にある社会的問題として新型コロナウイルスへの対応があります。アフターコロナの世界は、職業人の価値観や働き方が大きく変わると思います。本当に先が読みにくい正解のない時代の中で、職業生活をどのように設計していくのか、難しい問題です。キャリアコンサルタントには、労働環境など時代の変化を読み、クライアント自らがより良い意思決定ができるサポートをすることが求められています。またクライアントの要望を踏まえて、組織への働きかけもより求められるようになってきています。

心理学者のユング(C. G. Jung)は、人生を日の出から日の入りにたとえ、40歳前後を「人生の正午」と呼びました。その正午を越えたシニア層は、どのような職業生活設計を考えていく必要があるのでしょうか?

2.シニア層のキャリアについて

日本の労働市場を見ると、労働人口が減少していくことは大きな問題です。その解決の糸口の一つとして、シニアの活用が考えられます。実は私が、自分のキャリアを改めて考えようと思ったきっかけはこの問題に関連しています。

企業としても、シニアの活用はまったなしの状況、国としてもシニアの活用を推し進めようとしている。であれば、私としてもまだまだ活躍できる可能性が残っているのでは?そして、そんな世代の人たちのサポートができるのでは?と考え始めました。

 

パーソル総合研究所では、「日本で働くミドル・シニアを科学する」というテーマで調査を行っており、その中にこのような調査結果があります。

https://rc.persol-group.co.jp/mspjt/をご参照ください)

 

この調査では、「任された役割を果たしている」「担当業務の責任を果たしている」「仕事でパフォーマンスを発揮している」「会社から求められる仕事の成果を出している」「仕事の評価に直接影響する活動には関与している」といった5つの項目からジョブパフォーマンス(躍進状態)を見ています。

40歳以上を2歳刻みで測定したところ、50~51歳が最も落ち込んでいるという結果になりました。また会社の満足度は50代前半が最も低い、とのことです。そして、自分自身の「キャリアの終わり」を意識する転換点は45.5歳ということでした。

では、ジョブパフォーマンス(躍進状態)は50歳以降落ち続けていくのか、というとデータではそうではない、という結果が出ています。50代前半は落ち込みますが、50代後半からまた上昇し、60代前半でまた下がってく「M字カーブ」を描きます。

ちなみに、国別の労働力率(働いている人の割合)を65歳~69歳で比較してみると、日本のシニアは他国に比べてよく働いていることが分かります。※下図参照

グラフ.jpg

「労働政策研究・研修機構 データブック労働国際比較2018」より

 

年金や定年制度の違いなど、様々な要因が影響していると思いますが、“働く”ことに対する価値観の違いもあるのではないでしょうか?

私は、「外的キャリア(地位、年収、資格など)」の影響を受けながらも、キャリアの終わりを意識する転換点(45.5歳)より早い段階で、「内的キャリア(やりがい、仕事への満足感など)」の意味づけが充実していれば、シニアのジョブパフォーマンス(躍進状態)は、M字の落ち込みを最小限にして上げていくことができるのでは、と考えています。

働くということは、“世のため人のため”につながる営みであると思います。一つひとつの仕事は小さなものかもしれませんが、そのつながりを意識することができれば、やりがいにつながるのではないでしょうか?また、仕事を通じた学びは、何歳になっても得られるものです。学びは成長につながり、昨日と違う自分になっていくことは年齢に関係なく楽しいものです。このようなやりがいや楽しみが「内的キャリア」の意味づけにつながっていけば、働くシニアと企業の関係がWIN-WINになっていけるのでは、と思います。

3.今後に向けて

今回の「キャリア」に関する学習プログラムの中で、印象的だったことを一つ取り上げます。それは、意思決定に関する研究を行ったジェラット(Harry B. Gelatt)が研究の方向性を途中から大きく変えた、ということです。

研究の初期は、理性的かつ合理的な意思決定を重視し意思決定モデルの構築に尽力しましたが、その後、不確実性を積極的に受け入れ主観的で直観的な意思決定も取り入れるようになった、という変化です。(「計画された偶発性理論(Planned happenstance)」を提唱したクランボルツとテニス友達であったことも関係しているのか・・)

現在のキャリア理論は、先人たちが積み上げてきた結果です。その系譜を踏まえつつ、時代に合わせてその理論も変化させていくことが重要であると気づかされました。

では、どのような変化をとらえていく必要があるでしょうか?

これからの日本の労働市場や社会保障の在り方を考えると、シニア層が元気に楽しく躍進してくことがますます重要になると思います。労働環境を取り巻く様々な制度の見直しも必要ですが、キャリアは結局その人自身の問題でもあるので、「内的キャリア」の意味づけを充実させていくことが重要です。周りのシニア層のみなさんは、元気に楽しく働いていますか?そのためのサポートは充実していますか?

ただシニア層といっても、一人ひとり個性があり価値観も違いますので、丁寧に対応していくことも必要です。

 

私が最近読んだ本の中で、自分にフィットする言葉ありましたので、最後にその紹介をしたいと思います。それは、落合 陽一氏の『日本再興戦略』という書籍の「“ワークライフバランス”から“ワークアズライフ”へ」という言葉です。

“ワークライフバランス”という言葉には、「仕事は仕事」「生活は生活」といったニュアンスがあるので、少し違和感がありました。仕事はもちろん大変でストレスがかかることが多いのですが、それ自体を楽しむことができれば、何も無理に切り分ける必要はないのでは、と。例えば、生活の中での気づきが仕事での対話事例として使えたり、仕事での経験が生活の知恵として生かされたり。また、ある本を手に取って、なんとなくもやもやしていたものが仕事でも生活でも役立つヒントとしてはっと閃いたり・・

最近では、仕事とともに永く生活を楽しむことができればハッピーかな、と考えるようになりました。

 

人生100年時代と言われていますが、そうするとユングの時代より、時計の針の動きが遅くなっているのかもしれません。そう考えると50歳を超えた私でも、まだ日が昇っているところ・・と捉えることができるかもしれません(笑)

ただ、もしそうだとしても正午は間違いなく近づいているので、その転換期にうまく折り合いをつけていくことも大切です。

今回、「キャリア」について深く考える機会を得ることができましたので、研修などを通じて、様々な世代のみなさんと「キャリア」について対話できることを楽しみにしています。

著者プロフィール

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西川 敏彦

パーソルラーニング株式会社 トレーニングパフォーマンスコンサルタント

大学卒業後、富士ゼロックス総合教育研究所(現 パーソルラーニング)へ入社し、営業活動を行う。その後、西日本支社へ異動し、営業マネジャーに就任。 同社ビジネスパートナーとして独立し、人材育成に関するコンサルタント業務に従事。 トレーナー業に専念するため、富士ゼロックス総合教育研究所(現 パーソルラーニング)に復職し、トレーニングパフォーマンスコンサルタントとして現在に至る。

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